── ─── ──── 「死ぬ事を恐れていたら、俺は今ここにいねぇよ」 「……っ!」 その言葉を聞いた雅は、足がすくんだ。 (土方さん……死ぬつもり、なの?) 途端に涙が溢れそうになる。 悲しくて堪らなかった。 しかし……首を横に振る。 (いやだ、絶対に……) 市村が出てきそうだったから、雅は慌てて、部屋から離れる。 扉が開き、市村が出てくる。 そして、足音が少しずつ遠ざかっていく。 その足音が完全に聞こえなくなった時、雅も部屋に戻っていった。