桜廻る





土方は刀を収めた。


そして、市村の手を押し戻す。





「出来るな?」





市村は、小さく頷いた。


それを見た土方は、市村から手を離す。





「副長……死ぬつもりなんですか」





市村は、同じ質問を再びした。


少しの沈黙のあと……


土方は口を開いた。





「死ぬ事を恐れていたら、俺は今ここにいねぇよ」





その言葉を聞いた市村は、しっかりと手に持っている物を握りしめる。


土方は市村の肩に手を置いた。