桜廻る





「はい。……あの、これを」





市村は、何かを懐から取り出した。


そして……それを、雅に手渡す。


それは、ひまわりの柄が付いた綺麗な櫛だった。





「あの、これ……私に?」





雅は受け取りながら、疑問符を浮かべる。


しかし、疑問だったが、一つの出来事を思い出した。





(あ、あの時……)





『この花、お前みたいだな』


『……えっ?』


『まだお前は小さいけど、一所懸命に大きくなろうとしている。俺には分かる』