「──死ぬつもりか?」
その、“死”という言葉に反応して、またビクッと雅の体が縮まる。
そんな雅を無視し、
男はさらに腕を引っ張った。
「や…っ」
「……うるせぇな。少し我慢しろ」
まだ怖気ずいている雅を見て、男は舌打ちするとその腕を自分の肩に回す。
さらに、もう片方の手は雅の左肩に置き、自分に向き合わせるようにした。
次の瞬間──。
「……っ!!」
雅の体は、ふわりと宙に浮いた。
男は軽々と雅を持ち上げたのだ。
思わず、男にぎゅっとしがみつく。
そして男は、ストンと安全な場所に立たせた。
(…死ねなかった……)
男への感謝よりも、雅はそんな事を考える。