ふーふーと息をかけ、一口飲む。 そして、お椀を一度机に置き、手をさする。 少しだけ、落ち着いたようだ。 男は、顔を上げて口を開いた。 「突然お邪魔して、すみません。市村鉄之助といいます。……桜川雅さんに、用事があって来たのですが」 「……」 (えっ?私⁉) 雅は驚いて、目を見開いた。