桜廻る





八重もそう言いながら、味噌汁を一口飲む。


そして、ふう……と短く息をついた時だった。


ドンドン!と、激しく玄関の扉を叩く音が聞こえてきたのは。





「私行きますね」


「はい」





八重はお椀を机に置き、玄関へ向かった。


そして……そこに立っていたのは、寒さで今にも倒れそうな一人の男だったのだ。





「大丈夫ですか⁉早く中へ……っ」





八重は急いで、その体を支え中に入れる。


雅も、何事かと立ち上がった。