桜廻る





それからは、厳しい毎日だった。


野菜を持って行商をしたり……。


しかしそれは生きるため。


それに、冬場は雪がたくさん降る。





「さむ……っ」





凍える手を、雅は自分の息で温めた。


今は桶に冷たい水を入れ、洗濯をしていた。


辛い。


辛いけど……土方に会えるのなら、がんばれる。


そんな思いだった。


ザブッ、ザブッと、水の音をたてながら洗う。


手が寒さで赤くなる。