そして、視線をさまよわせている時だった。 「ありがとな、雅」 「……えっ?」 「俺はお前のお陰で、武士になれた」 雅は思わず視線を上げる。 ──夢が叶った。 土方は笑顔で、そう告げた。 その時だった。 ガタッと、思い切り大きな音を立てて、ドアが開く。 「──副長。山崎が、つい先程……」 雅の心臓が止まりそうになった。 頭が真っ白になり……手足が、震え始めた。