「どうして……」 雅は新しい手拭いを当てて、再度止血を試みた。 しかし、一向に血は止まらず……。 何度取り替えても、止まる事はなかった。 「雅さん。他にも怪我人がたくさんいるので、そっちに行って下さい」 「え……。でも、まだ止まってませんよ?」 「大丈夫です。私これでも、医学を心得ているので……。自分で、出来ます」 そう言った山崎の息は、荒かった。 雅はそこからしばらく動けないでいたが、山崎に軽く体を押され、行かざるをえなかった。