桜廻る





雅は土方の小姓になった。


しかし、主な仕事は怪我人の手当て。


戦で、たくさんの怪我人が出たのだ。





「ちょっとしみますよ」


「う……っ」





痛々しい傷口に、手拭いを押し付ける。


こういうのは、圧迫して血を止めた方がいい……と、どこかで聞いた。





「ありがとうございます、雅さん」


「いえ。……山崎烝さん、でしたよね?」


「あ……はい。覚えててくれたんですか」





山崎は、照れくさそうに笑った。





「新選組の監察をやってたんですけど、新政府軍に斬られてしまって。……情けないです」


「監察……?」