桜廻る





「やっぱりこの人かぁ。いいよね、和風な感じの。刀持たせてみ?絶対かっこいいから」


「……」


「……雅?どうした?固まっちゃって」





(あ……)





「分かんない……。でも、その人知ってる気がする……」




雅はそのプリクラを、百合から受け取った。




「誰だっけ……」


「な、何?どういう事?記憶喪失……とか?」


「分かんない……でもね」





雅は、プリクラを優しくなでた。





「この人に、いっぱい勇気もらったかも。だから私は生きてる。いじめも乗り越えた」


「……雅?」


「会いたいよ……」





切なげな雅の声を聞いた百合は、優しく雅を抱きしめた。





「会えるよ、絶対。大丈夫」


「本当?」


「うん。恋の力はすごいんだからね!」





そう言った百合の顔は、誇らしげだった。