桜廻る





「……土方さんの時代に行ってみたいです」


「ん?」


「どんな所なのかなーと思って」





割り箸でおかずを食べながら、雅はそう言った。





「俺のとこは何もねぇよ。この時代に比べれば不便な所もたくさんあるし……」


「……戻りたいですか?」





不意にされた質問に、土方は驚く。


しかしすぐ冷静になって、口を開いた。





「あぁ」


「……!」


「だが……」





雅は黙って、土方の本当の気持ちを聞き続けた。




「この時代も、俺は好きだな」





そう言って笑った土方の表情は、輝いていた。