桜廻る




──十分経過。




「どうして道に迷っちゃうんですか……」





思わぬ事態に、雅の声が小さくなる。


……そう。


土方が興味を持つ場所を優先的に……つまり、歩く順序など無視して進んでたら、今いる場所がどこだか分からなくなってしまったのだ。


おかげで、ずっと真っ暗な建物にいるまま。





「出口はどこだ……。もう出たい」





土方もいい加減もうここにはいたくないみたいだ。


と、そこへ。





「……!」





雅は恐縮して固まる。





「土方さん、あそこ……」