しかし、雅の姿を捉えると、すぐに表情を変える。
「あんたのせいよ……」
「え……」
「私の居場所、返してよ……っ!」
(……!)
雅は、泣きそうな杏奈を見つめた。
「……私は、今までずっとそうだったんだよ。ずっと一人だったの」
「だからって、私の居場所を奪う事ないじゃない!」
「居場所がなければ探せばいいって、私、教わったの……だから今は、ちゃんと居場所があるんだよ……」
雅はそう言うと、土方を見上げる。
大丈夫だ……というように、土方は頷いた。
……その時。
「杏奈……居場所がないって、そんな事言わないでよ。私がいるじゃん……」
ぽつりと、そんな声が響く。

