桜廻る





雅は土方の隣にしゃがみ込み、さっそくポイを水に浸す。


そして、金魚が泳いできて……。





「えいっ」





雅が金魚をすくった瞬間、ドボンと音がした。


ポイには大きな穴が空き、金魚は再び泳ぎ続ける。





「お前下手だな」


「う…」





土方にばっさり言われ、雅は悔しそうな顔をする。


見てろよ、という感じで、土方はポイを水に浸した。





「取った」





一匹、金魚がお椀の中を泳ぎ出す。





「ほらよ」





二匹目、三匹目……。


五匹くらいすくった所で、ポイが破けた。





「す……すごいですね、土方さん」


「これが得意だと、最初に言ったろ」





にっと口角を上げて、土方は笑う。