桜廻る





今日の食卓には、雅と、土方と、父の三人。


父が腕をふるって、ハンバーグを作ってくれた。


美味しそうないい香りが部屋に漂う。





「それで……。土方君の事を、教えてくれるか?」





雅は土方に目配せをし、口を開く。





「えっと、土方さんは実は……」


「雅、これはお前が言う事ではない。土方君が言う事だ」


「……あ、分かった」





いきなり真面目になった父に、雅は驚く。


土方は姿勢を正して、口を開いた。





「それでは改めて、土方歳三と申します。生まれは武蔵国多摩郡石田村、今はまだ薬売りですが、これから試衛館に通い、武士を目指したいと思っています」





そこまで土方が言うと、父の手が、ピタリと止まった。





「そ……。それは、本気で言ってるのか?土方君。今は武士など……」