「……金がない!」


オーランドの叫びで、コートニーは飛び起きた。


2日前から居候の身となったコートニーは、結局オーランドのベッドを占領している。


オーランドは床にマットレスを敷いて、そこで寝ていた。


ねぼけた目をこすり、オーランドを見ると、彼は財布を持って青くなっていた。


銀色の鋲が打ち込まれた黒皮の財布。


彼が着ているのは、その台詞にふさわしく、そこかしこに穴が開いた白いTシャツに、破れたジーンズ。


首からは、アーマーリングとお揃いの、土星みたいな、輪っかがついた丸い玉の上に小さな十字架がついたようなモチーフが立体になったライターがぶら下がっていた。


彼が言うには、これは有名なブランドの品であって、今ではめったに手に入らないものらしい。


そのブランドのことを嬉々として話す彼のキラキラした目は覚えているが、内容はさっぱり忘れた。
だって、小汚いパンクファッションなんて、一切興味がないから。


とにかく彼の部屋には、そんなものが溢れている。


そのブランドに興味はなくとも、ずっと見ていると不思議と好きになってくるのが人情というもの。


ふざけてそのライターを首から下げてみたら、オーランドは火がついたように怒った。


以降、オーランドの言う『コレクション』には手を出さないようにしている。喧嘩になると、面倒くさいから。


(お金がないって……。
そんなもんを、買い集めてるからじゃないの?)


と思いながら、一応聞いてあげることにした。


「どうしたの?」