紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



「ドラゴンよ……お願い、ここへ来て───!」


ペンタグラムが、ひときわまばゆい光を放つ。


魔法陣の中を黄金の嵐が吹き荒れ、周りからの視界を閉ざした。


その風の強さで、コートニーの髪が、皮膚が、爪がちぎれる。


赤い玉となった彼女の血が、天に舞い上がった。


「……まさか……!」


最初に気づいたのは、カートだった。


魔法陣の嵐の中で、影がゆらめいた。


尖った二本の角とたてがみ。鳥のくちばしのようなもの。


それだけなら、別の悪魔でも持っている。

立ち尽くし見守っていると、風が徐々におさまり、その中が見えてくる。


しかし徐々に、鎧のように重なった、首から腹の皮膚、そして……。


先の尖った翼と、同じように鋭い尾が現れた。