紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



しかし……。


コートニーは見た。


彼の後ろに、巨人を伴ったカートが近づくのを。


悪魔は自分と黒豹しか見ていない。


いけない、と思ったそのとき。


「やれ!」


カートが叫んだ。


巨人が火炎を放射し、黒豹が牙をむく。


絶体絶命──。


そう思った瞬間、悪魔が黄金の髪を翻し、飛んだ。


彼はまっすぐにコートニーの元へ走る。


そして。


地獄の炎と鋭い牙を、その体で受けた。


「……!」


抱きしめるようにかばわれたコートニーは、悪魔の金髪が焼かれ、背中が噛み裂かれるのを見た。


声にならない悲鳴をあげ、悪魔はそのまま、自分の上に倒れこんだ。


「オーランド……っ。

オーランド……っ!」


カートの高笑いが不吉に響く。


巨人と黒豹は動きを止め、主人の命令を待っていた。


「オーランド!オーランド!」


コートニーは彼の下から抜け出し、彼を草の上にあおむけにする。


とがった耳は丸くなり、牙はみえなくなった。


金髪は長いままだったが、体中にあった紅蓮の模様が消えていく。


悪魔の力が、薄くなっている証拠だった。


金髪の悪魔が、ただのオーランドに戻っていく。