紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



「……ひっかかりましたね」


背後の声に、ぞくりと手が震えた。


オーランドを守ることに全神経を傾けてしまったコートニーは、忘れていた。


ナンシーの存在を……。


振り返ると、彼女の手に、いつの間にかペンタグラムがにぎられていた。


それが銀色の光を放つと、巨人たちがコートニーに向かってくる。


「また人質にするつもりねっ?」


移動魔法でその場から逃れようと思ったコートニー。


そんな彼女の細腕を、ナンシーがとらえた。


「人聞きが悪いですね。

あなたは私たちのプリンセスです。

悪いようにはしないと約束しますから、あの悪魔を止めてください」


ナンシーに言われてオーランドの方を振り向く。


彼は黒豹とカートとの戦いを再開していた。


「できないわ。あなたたちが先に、この巨人たちを地獄に還しなさいよ」


「あくまでカート様の味方にはつかないということですか」


「ええ、そうよ。
私は、黒魔法師の王国の復興なんか、これっぽっちも興味はないわ!」


きっぱり言い返すと、ナンシーは少しだけ寂しそうな顔をした。


「……では、少し黙っていていただきましょう……。

大丈夫、死んでもその死の灰さえあれば、私があなたを復活させて差し上げます」