紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



「プリンセス……彼を止めてくれないかな?

僕の家族をこれ以上傷つけたら、いくら君でも容赦しないよ」


黒豹から降りたカートが、丘の上に立つ。


巨人たちは彼を取り囲むようにしていた。


白魔法師たちは今のうちにと、燃えた火を消し始める。


「あなたこそ、もうこんなこと、やめて」


コートニーは凛と、遠くにいるカートを見上げる。


「大切な人たちが傷つけられると、悲しいでしょう?

私だって、白魔法師だって、一般人だって、一緒なの」


「うるさいよ」


カートは杖を持った手を、コートニーに向ける。


金髪の悪魔は、紅蓮の腕を彼に向けた。


主人を傷つけるのは許さないと言うように。


「だからってどうして、僕が譲歩しなくちゃいけないんだい?

どこかで断ち切らねばならない負の連鎖だってことは、わかっているよ。

ならばその正義面している白魔法師たちが、自分たちの行いを反省して、もう二度と自分たちは他人を傷つけないと誓えばいいじゃないか。

僕は知らない。徹底的にやってやる」


カートの作り物のように美しい顔が、歪む。


そばにいるナンシーも、表情に悲しみがはりついている。


「つらかったんでしょう。わかるわ。

でも、こんなことをして、あなたは救われるの?

人に仕返しをして、何かいいことがあるわけっ?」