紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



「何言ってるの?そんなことをしたら、また我を失いそうになるでしょう?

あなたがあなたでなくなるのなんて、絶対に嫌よ」


コートニーは悲痛な表情で言った。


こんな非常事態なのに、オーランドはそれをとても嬉しく感じる。


自分は、自分でいていいのだと。


「大丈夫。愛のパワーで、なんとかなるわ!」


にかっと歯を見せて笑うと、コートニーは呆れたような、泣きそうなような顔をした。


「そんなわけないじゃない!何よその自信!」


悪魔に完全に乗っ取られてしまったら、カートたちを止めるどころか、この世界を破滅に導くのに加担してしまうかもしれない。


「わからんやんけ。

昨夜で、僕たちの絆はめっちゃ深くなったと思うけど?

めっちゃ素敵な代償もらったし」


オーランドはコートニーの手の甲にキスをする。


すると赤くなったコートニーが、「もう!」と膨れた。


「わかった……。あなたがコントロールを失ったら、私が責任を持って止めるわ」


コートニーが覚悟を決めたのを見て、オーランドは微笑む。


すでに指先が紅蓮にそまっている右腕を、コートニーに差し出した。


コートニーは息を深く吸って、吐いて、吸って。


足元に金色の風が巻き起こったと同時に、澄み渡った魔力の声を放つ。