紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



「覚えていないだろう。

彼らはね……君たち白魔法師に滅ぼされた、僕の家族だ」


うっとりと上空を眺め、カートは言う。


白魔法師たちは、ぶるりと背を震わせた。


この赤黒い、邪悪な巨人が、家族……?


けれど、黒魔法師にだって、家族を大事に思う気持ちがあるのだ。


そんな当然のことに、今更きづいた彼らは、何も言えずに巨人たちを見上げた。


彼らはどこをみているのかわからないぎょろりとした目に、ただ穴が開いているだけのような鼻と口があった。


「……焼き払え!

この世の全てを!

穢れた大地を再生させるため、すべてを一度、焼き払うんだ!」


カートが叫ぶと、ペンタグラムが光る。


巨人たちは彼の言っていることがわかるようだ。


「まさか……っ」


息を吸い込んだそれらを見て、コートニーが悲鳴を上げる。


「やめてぇっ!!」


声と同時、巨人の口から火炎が吐き出された。


──ゴオオオオ!


それは轟音とともに、野原に火を放つ。


そして……


──どしり。どしり。


巨人たちが一歩ずつ歩みを進めていく。


緑の原野が焼け焦げていく。


白魔法師たちはなすすべなく逃げ惑う。


あっという間に火の海となったストーンヘンジ周辺。


その中心で、カートは高笑いした。


「どうしようオーランド。あのペンタグラムに、あんな力があったなんて」


コートニーは炎から自分を抱いて逃げるオーランドにしがみつく。


震えが止まらない。


「まるで聖書の再現みたいやな」


炎が、世界を飲み込んでいく。再生させるために。


この世界をすべて焼き尽くすのに7日かかるというのは本当だろうか?