紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



カートは血に濡れたペンタグラムを掲げる。


「……失われし王国の血を、再びこの世界に呼び戻そう。

そして、白魔法師に制裁を。

仲間たちよ……今こそ復活せよ!」


カートが叫ぶ。
その声に応じるように、ペンタグラムがまばゆい銀色の光を吐き出す。


ダメだ。
そう思う間もなく、ストーンヘンジの中心、彼の魔法陣は赤紫色の魔力を空へ立ち昇らせた。


その中で、カートの漆黒の髪とコートのすそが揺れる。


そして彼の周りを飛び回っていた球体たちが……形を変え始めた。


「……あれは…っ」


コートニーが思わず魔法を撃つ手を止める。


球体から、ぴょこりと手足のようなものが飛び出したから。


それらはぶわりと膨れ上がったかと思うと、ぼこりぼこりといびつに形を変えていく。


「人……なんか……?」


赤黒いそれは、痩せた人のような形になった。


やけに手足の長いそれらはどんどん、空へ向かって巨大化していく。


「トロルだ!」


伝説の悪妖精だと、白魔法師たちが叫ぶ。


人の何倍も大きく、頭が悪くて粗雑な生き物。


「失礼だね……トロルなんかと一緒にしないでくれるかな」


不快をあらわにし、カートが彼らをにらみつける。


その間にも、巨人たちは頭が雲につくくらい膨れ上がった。


はりつめたストーンヘンジの結界が、破れる。


その衝撃で、白魔法師たちとオーランド、コートニーは後方へ吹き飛ばされた。