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幾多の目が、自分を見ている。


様々な色のそれたちは、白魔法師であったり、一般人であったものたちの眼球。


液体につかり、なんの意志もなくこちらを見つめている。


カートはそんなことは気にしない。


コートニーが逃亡してから手に入れた、千里眼の力を持った黒水晶さえ、見向きもしない。


彼の視線を独り占めしているのは、コートニーの一族……もとは自分の一族と同じだった、王族に伝わるペンタグラム。


12歳のコートニーからこれを奪ったとき、自分は17歳だった。


それからたった一人の味方ともいえるナンシーと、様々な研究をしてきた。


死んだ人間を、日光にも炎にも負けないリビングデッドにする方法。


王族の血を増やすための、コートニーを悪魔とのキメラにする方法。


だって、普通にキミと交尾するだけじゃ、残せる王族の血はほんのわずかだし、弱い人間のままじゃないか。


悪魔の力を手に入れたキミと、僕の子。


それを錬金術を使い、もっともっと殖やしていかなきゃ、王国は復興しても、維持していけないだろ?


そう言ったら、彼女は顔をひきつらせていた。


どうしてだろう、とカートは思う。


長い年月、白魔法師に良い思いをさせてやったじゃないか。


今度は、僕たちがこの世界を支配する番だ。