紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



豪快に笑うオーランドに、コートニー含め全員が呆気にとられる。


「というわけで、見逃してくれんか?

お前さんたちが、僕を仲間やと思ってくれとるんやったら」


「勝手なことを……」


「ええやん、な、頼むわ!じゃあ!」


オーランドは強引に話を終わらせると、コートニーの腕を引っ張って走る。


しかし……


「逃げられるわけ、ないでしょう?」


振り向いた彼らの前に、一人の女が立ちはだかる。


水色の髪をし、水の精霊を従えた美しき白魔法師、アリス。


「……っ……」


オーランドは言葉につまった。


アリスはクライドたちと違い、最初から話をする気はないようだ。


そして、自分ではなくコートニーをにらんでいる。


(強敵やな……)


コートニーをかばう発言はNG。


だってアリスは、オーランドに想いを寄せていたのだから。


その気持ちを無視されることに加え、ひどい裏切りを感じているはずだ。


彼女は誰よりも、自分に失望し、怒っていることだろう。


そして。


「アリス……さすがやな」


誰よりも、組織と騎士団に忠実な人物。
それが彼女だった。


アリスの後ろから、大きな影が現れる。


緑色のマントを翻したその男は、間違いなく騎士団長・ランスロットだった。


「オーランド。お前を、騎士団を裏切った罪で捕縛する」


低い声が響くと、彼の背後の移動魔法陣から、続々とオーランドの知っている面々が現れた。


すべて、組織や騎士団のメンバーだった。