(助かった……)


コートニーは至極普通だ。普段通りの、わがままな彼女。


そうしてくれると、自分も妙な緊張をせずに済む。


彼女が寝ると言えば、一緒に寝るまで。
なにもしなくていい。


もちろん、何もしたくないわけじゃないけど、今夜はオーランドも疲れきっていた。


おそらく全てがはじめてであろうコートニーに、精一杯の気を使う余裕が、ない。


(アホやな、僕……)


少年に戻ったような気分で、オーランドは一人苦笑する。


今まで、適当に遊んできた自分は、女の子の扱いが得意だったはずだった。


自分の容姿が他人より少しばかり良いことはわかっているし、日本の夢見姫だって、少し甘い言葉をささやけば、頬を染めてうつむいた。


結局、ジャパニーズ忍者には勝てなかったわけだが。


(人のこと言えんやんけ)


最後の最後まで素直でなかった岡崎瑛のことを、おそろしく不器用な人間だと思っていた。


好きだったなら、さっさと告白してキスして、それ以上もして、夢見姫の力を封印してやれば、あんな激しい戦いにならずに済んだのに。


瑛は、そうしなかった。


それはオーランドの理解の範疇を超えていた。
忍者はそういうことをしちゃいけない決まりでもあるのかと思った。


でも、違った。


(できないもんやなあ……)


本当に大事だからこそ、簡単に手を出せない。


そんなケースが現実にあることを、オーランドは身をもって知った。