バリバリバリバリ!!
ナンシーの周りで起きた無数の爆発の中で、赤い火花が散る。
とっさに彼女を守ろうとした死者たちも、巻き添えになった。
「見て、オーランド……!」
「死者を操るのに一生懸命で、防御を忘れたな」
シドが解説。「ま、人数がそろったもんな」と付け加えた。
ナンシーの恐ろしさは1対1で対峙した時に最大限に発揮される。
死者の数に頼った彼女の負けだった。
「白魔法師め……!」
空へ還っていく煙の中、ナンシーはところどころが焼け焦げた姿で立ち上がった。
彼女の足元には、死者が丸焦げで転がっている。
「げっババア、立ちやがった」
シドがコートニーの陰に隠れる。
「うん、でも……悪魔の気配が消えたわ」
その言葉とともに、ナンシーの耳たぶから、焦げたピアスが崩れて、地に落ちた。
「もう魔法は使えないはず……」
その言葉の通り、無傷だった死者までバタバタと倒れ込む。
「他の悪魔を召還する時間は、ないわ」
ほんの少し、右腕の痛みが和らいだ気がして、オーランドは目を開けた。
そこではすでに、仲間たちが、ナンシーを取り囲んでいた。
「騎士団の城まで、一緒に来てもらおうか」
フェイが言う。
ナンシーは悔しさで奥歯を噛んだ。
「決着……ついたんか?」
「オーランド!大丈夫?」
「ちょっとは……マシやな」
深呼吸で残る痛みを逃そうとするオーランドに、コートニーは微笑んだ。