紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



「コートニー……」


「ごめんなさい、オーランド」


まだ何も言われていないのに、コートニーは謝った。


「本当……なの。

私は、何百年も昔、このスコットランドで魔女刈りにあった、黒魔法師の血族の末裔……」


ごくりと、唾を飲み込むオーランド。


勉強が嫌いな彼でも知っている、中世ヨーロッパ諸国で起こった、魔女刈りの歴史を思い出す。


「スコットランドでの犠牲者は、他の国や地方よりも少ないと言われているわ。

でも本当はね……何万人という魔法師が殺されたの。

白魔法師と違って、精霊の力を借りず、悪魔や自然の力を借りた。

それだけの理由で」


語るのはナンシー。

そしてコートニーがバラ色の唇を動かす。


「オーランド……私たちの血族はね、たしかに悪魔の力を借りた。

でもそれは、自分たちを守るためだったの。

邪悪なドラゴンの末裔というだけで忌み嫌われた私たちは、悪魔の力で白魔法師を呪うしかなかった。

でも、大半の人たちは普通に暮らしていたそうよ。

それがある日突然、あることないことでっち上げられて、結果何万人も火あぶりにされた」


……そんな。


自分が教わってきたのは、黒魔法師は呪いや疫病を撒き散らす、絶対悪の存在だということ。


そして、自然を愛し、人を助ける白魔法師が正義なのだということ……。


生まれたときから疑いもしなかった常識が、音を立てて崩れていく。


悲しげに語るコートニーの言葉が嘘だとは、どうしても思えなかった。