(天使……?)
コートニーが見たのは、
金色の髪をした美しい青年の姿だった。
まるで翼でも生えているような身軽さで、彼は赤のチェック模様の奇抜なコートを翻し、厚い木底のブーツで、コートニーの前に舞い降りた。
「伏せとき!」
彼はそう言うと、右手を突き出し……。
「死者は死者らしく、墓で寝とらんかいっ!」
振り上げたと思うと、勢い良く『それら』に向かって振り下ろす。
ブウンと空間を凪ぐ音がして、その手から金色のオーラが放たれた。
それはもう一本の巨大な腕のように『それら』に伸び、手のひらで虫を叩き潰すかのごとく、彼らを上から覆い、押しつぶす。
その攻撃で『それら』の何人かは床に沈んで、動かなくなった。
(すごい……!)
コートニーはその場に立ち尽くし、事の成り行きを見守っていた。
金髪の男は第一波を撃ったあと、なぜかポケットからスマホを取り出した。
「フェイか。
ウエストミンスター寺院にリビングデッドが……30体ほど。
すぐに来れるか?
……いや一人でもええんやけど、一般人がおんねん。
そっちは僕がなんとかするから、現場の後始末を頼むわ」



