紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



言葉を発するものはいない。


大量の『それ』の前に姿を現したコートニーを見て、息を荒げる音だけが礼拝堂を満たす。


そして……


彼らはいっせいに、コートニーを捕らえようと手を伸ばす。


わらわらと寄ってくるそれらを前に、コートニーは再びまぶたを閉じた。


(ダメかもしれないけど、何もしないよりはマシだわ)


最後の力を振り絞り、魔方陣を出現させるため、両手を胸の前に伸ばす。


その白く細い指に、『それ』が触れそうになった途端……。


コートニーにとっても、『それら』にとっても、予想外の事態が起きた。


──パキ。


何かがきしむ様な音がして、コートニーは思わず目を開ける。


目前には、彼女の腕をつかもうとする『それ』の姿。


その手を振り払おうとした瞬間。


──ガシャァァァァァン!!


「……っ!?」


コートニーの背後で、ガラスが割れる音が響いた。


驚いてそちらを見ると、色鮮やかなステンドグラスの欠片が降り注ぐ中、

何かがこちらに舞い降りてくる姿が、スローモーションのようにコートニーの目に映し出された。