「もっ、申し上げます!!」

天界を統べる帝が居る、都。

その都の中心に在る城の、将軍が生活している塔の一室で、兵士の1人が緊張した面持ちで口を開いた。

「第53次 悪魔狩りは しっぱ――。」

「全く……使えねェ奴等だな。」

兵士の言葉を遮ったのは、報告を受けている天使だった。

男にしては長い橙髪を頭の左上で束ね、右目は前髪で隠されている。

彼は、鋭い茶色の瞳で、兵士を見遣った。

「こうなったら、混血(そいつ)に見せしめだ。辺境に住んでるとか言う、人間とのハーフを殺せ。」

そして彼は、誰にも聞こえないように呟く。

「この世に混血(ハーフ)なんざ、要らねェんだよ。」