天使の歌


「っ!!」

セティは目を大きく見開いて。

ぐっと、唇を噛み締めた。

スティが している事は、明らかに八つ当りだ。

しかし、兄の気持ちを理解して、セティの胸が ぎりぎりと痛んだ。

「だから、てめェを簡単に殺したくねェんだ!!死にたくなるくらいの屈辱を味あわせて……殺したかった!!」

スティは そう叫ぶと、雷の神霊(みたま)を身に纏い、セティに殴り掛かった。

突然の攻撃を避け切れず、セティはスティの拳を、自身の拳で受け止めた。

その瞬間。

「……がはっ……!!」

スティから大量の神力が送り込まれて来て、躰の均衡を崩されたセティは、吐血した。

「セティ!?」

セティに走り寄ろうとするキュティの腕を、樹が掴んだ。

「行っちゃいけない!!危ない!!」

「嫌っ!離して!!」

抵抗するキュティを、樹は必死に抱き寄せる。

吐血したセティは、それでも冷静にスティの腹を蹴り飛ばし、距離を取った。

(……保たない……。)

熱い塊が込み上げる胸を押さえるセティの頭に、そんな言葉が、ぽつりと浮かんだ。

均衡を崩され、吐血していた躰。

それに更に圧力が掛けられ。

死が迫って来ている事を、セティは実感した。