キュティと少年は、戦闘を行った場所から少し離れた洞窟の中で、野宿を していた。

「…………。」

「…………。」

2人共、無言だった。

キュティは ぼんやりと、何処か遠くを見つめ、少年は そんなキュティを、横目で ちらっと窺う。

(こいつ一体、何が したいんだ。あれから喋んねェし……。)

その時。

「……ねぇ。」

キュティは呟くと、少年を見つめた。

哀しげに微笑みながら、小首を傾げる。

「貴方は どうして生きてるの?」

その言葉は、キュティが思っているより深く、少年の心を傷付けた。

それには気付かず、キュティは俯く。

「私、村を襲われて、信じていた人に裏切られて……居場所も、何もかも奪われちゃって……生きている理由なんて、全然 解んないんだ。」

キュティは顔を上げると、胸に手を当てた。

「貴方も、私と同じように迫害されて来たよね?どうして生きて来れたの?」

その瞳に浮かんでいるのは、不安だった。

キュティが頼れるのは、出逢って間もない少年だけだった。

(…………。)

少年は、僅かに眉を顰めた。

(やはり、こいつ……。)

知らないのか、“あの事”を。

「ねぇ!!」

キュティは少年に詰め寄る。

ぼんやりしていた彼は、慌てて意識を現実に戻し……キュティの真剣な瞳と目が合った。

“シーク”と そっくりな、強い光を宿す瞳。

キュティの瞳が、少年が抑えて来た記憶を揺さ振った。

「……っ……。」

「貴方の生きる目的は何!?」

――……止めろ……。

「私に教えてよ!!」

その時。

少年の脳に、ノイズが走った。

――母さんの事 頼むな……?

――お前は騙されたんだよ。

――最後迄 一緒に居てあげられなくて御免ね……。

――実験台だ。

――大好きだよ。