天使の歌


神力も使ってない。

邪力も使ってない。

躰の均衡も崩れてない。

怪我も していない。

だとすれば。

(……そろそろ、か……。)

ずっと迫害されて。

神力と邪力に弄ばれた この躰は、そんなに長くは保たない。

別人格が現れてから、何となく感じていた事だ。

――もう直ぐ、死ぬ……。

何処か他人事のように、セティは思った。

ならば やはり。

俺は天界で、独りで、
死ななければ。

人界で死ねば、
きっとキュティは傷付く。

「……っえ……はぁ……。」

漸く吐き気は治まって来た。

地面を染めた自分の血を眺めて。

それを消すように、踏み躙りながら立ち上がる。

その蒼と紅の瞳には。
















何かを決意したような、
暗い光が。

ぎらぎらと煌めいていた。