天使の歌


朝食を摂り終わると、樹が立ち上がった。

「じゃあ俺、行って来るな。」

「え、何処にですか?」

「買い物。セティ君の服とマント買わないとね。」

キュティの質問に、桜が答えた。

「え、俺のですか?」

セティは驚いて顔を上げる。

「だったら自分で――。」

「行けんのか?」

セティの言葉を、樹は遮った。

「お前、まだ怖ェだろ。」

「…………。」

セティは無言で樹を見つめる。

その瞳から何かを感じ取ったのか、樹は じゃあな、と手を振ると、町が在る方へ歩いて行ってしまった。

「……あ、俺、食器 洗って来ますね。」

何処か気不味そうにセティは呟く。

「あ、良いわよ、私が――。」

食器に手を伸ばしたセティと桜の手が、軽く触れる。

その瞬間。

火傷したかのように、桜は素早く手を引っ込めた。

「…………。」

セティは いつも通り無表情だったが、桜は自分が何を したか解らない、と言う顔で、唖然と していた。

「……あの……御免なさ――。」

「別に。」

桜の言葉を遮り、セティは食器を手に、川へ行ってしまった。