天使の歌


「……え……?」

振り返ると、其処には困ったような顔を している桜と樹。

「あんまりにも遅いから、様子を見に来たんだけど……お邪魔だったかしら?」

桜の言葉に、キュティは漸く今の格好が かなりヤバい事に気が付いた。

仰向けに倒れているセティの上に跨るキュティ。

明らかに、キュティが押し倒した構図。

……実際に、押し倒したのだが。

「いっ、いつから居たんですか!?」

叫びながらセティの上から飛び退くと、彼は ゆっくりと上半身を起こした。

樹が にやける。

「キュティが激しいキスを開始した時から。」

「ぶっ……げほっ。」

その言葉に、セティは吹き出し、むせた。

桜と樹は顔を見合わせて、楽しそうに笑った。

「普通は男が激しく求めて、女が顔を真っ赤に して息を乱すのにねェ。」

「セティはマジで、初々しいなぁ。」

「……な……な……。」

わなわなとセティは震えて、再び赤く なった。

「このまま君を、俺の物に してしまいたい。」

煽る樹の言葉を聞いた瞬間に、セティは両翼を広げて逃走を開始した。

「ちょっ、セティ!?」

「たっ、耐えられないっ。直ぐ戻るからっ!!」

そう叫んで翔んで行ってしまったセティが帰って来たのは、もう直ぐ日が変わると言う時間だった。