天使の歌


「血の事を言っているんじゃないんだ。」

キュティを直視する紅と蒼の瞳の中に在るのは――寂しさと、何かを堪えているような、光だった。

「俺は、生きる為に、多くの天使を殺した。」

セティの声は、震えている。

「例え、スティ達が悪いと解っていても、それは簡単に許される罪じゃない。」

「そう、だけどさ……。」

キュティは、セティの右手を握る手に、力を込めた。

「私は、そんな貴方が、好きに なっちゃったんだよ?」

セティは何かを言おうとして口を開き、何も言わずに閉じた。

そして左手で、キュティの金髪を梳いた。

「……キュティ……俺さ、迷ってるんだ。」

「何を?」

「両親が亡くなった 此処で死ぬか、人界へ行って此処と同じような暮らしを するか。」

「前者は駄目。」

キュティが間髪入れずに きっぱりと言い切ると、セティは くすりと笑った。

「後者は……どうゆう意味?」

「俺はさ、君と違って、普通に生活するのが難しいみたいだろ。それに、俺は沢山の人間の中には溶け込めない。……怖いから。」

セティの長い前髪が、彼の顔に さらりと零れ落ちる。

「けれど、あの人達が提案したように、隠れて暮らすのは、此処で捕まっていた時と、何も変わらない。」