「……セティ。」
声を掛けると、樹のマントに顔を埋めていたセティの肩が、びくっと震えた。
キュティはセティの隣に座って、彼に密着した。
寂しい彼が、少しでも安心 出来るように。
セティは森の中の綺麗な小川の畔に在る石の上に、膝を抱えて座っていた。
「……泣いてるの?」
目線は小川に向けたままキュティが訊くと、セティは小さく頷いた。
「……何かさ……止まらなくなった……。」
「ずっと我慢してたもんね。」
キュティは そっと、セティの右手を握った。
邪力しか使えない、右手を。
「……すまない。」
不意に、セティが ぽつりと呟いた。
「何で謝るの?」
「君の家族を、傷付けたから。」
そんな事 無いよ、とキュティは首を横に振った。
「……正直、言うとさ……キュティ以外の人に、優しくされたくない……。」
顔を上げたセティの目元は、赤かった。
「また、掌を返されるのは怖いし……優しくされると、自分が許されたような気がするんだ。」
キュティは黙って、セティの言葉に耳を傾ける。
「俺は、重い罪を犯した罪人だ。忌み子だ。だから、許されちゃ、いけない。」
「貴方は忌み子じゃない!」
叫んだキュティに目を向けて、セティは静かに首を横に振った。


