「人間は悪。天界では、そう言われてるだろ。」

「それは……っ。」

否定しようとした桜を目で制し、セティは口を開く。

「勿論、全ての人間が そうじゃない事は、解ってる。俺だって、キュティの家族だと言う貴方達を信じたいし、もし、キュティと俺、両方を連れて行きたかったのなら、先にキュティだけ連れて帰って、後から俺を脅せば、2人共 連れて行く事は、可能だっただろう。」

冷静な、セティの分析。

同い歳とは思えない彼の発言に、キュティは ぽかんと口を開けてしまった。

「だから恐らく、この2人は信用 出来る。しかし、もしも この2人が、誰かの命令で動いていたら?誰かに騙されていたら?」

セティの瞳が、鋭く細められる。

「神霊(みたま)も少ない異界で、人界の知識も乏しい俺達が、生き残る可能性は在るか?」

誰も何も言えなかった。

黙り込む3人を見て、セティは立ち上がった。

「……悪い。少し、考えさせてくれ。」

そう呟き、セティは森を歩いて行く。

キュティは慌てて がばっと立ち上がった。

「あ、あのっ、私も行きます!暫く2人で相談させて下さい!返事はそれからで良いですか?」

頷く桜を見て、キュティは ほっと息を吐くと、セティの後を追い掛けて行った。