天使の歌


「…………?」

何か聴こえたような気がして、セティは目を開けた。

相変わらず暗い世界。

<……セティ!!逃げないでよ!!>

(……誰、だっけ……。)

懐かしい、誰かの声。

<一緒に頑張ろうよ!!私が居るから!!>

(……ほっといてくれよ……。)

セティは再び目を瞑る。

もう、頑張りたくないんだ。

<世界を滅ぼして、何に なるの!?私に生きてって言ったのは貴方じゃない!!なのに、私が生きる世界を滅ぼすの!?>

セティの脳裏に、美しい金髪が翻った。

(……――キュティ……。)

不意に、彼女を思い出す。

君の為に、もう会わない。

そう決めた筈なのに。

会いたくて、会いたくて、堪らない。

その時。

誰かが すとんと、セティの前に降り立った。

顔を上げれば、悪魔の姿のセティ。

「行けよ。」

彼は、哀しそうに微笑んだ。

「俺は拒絶されちまった。あいつは、お前が好きなんだと。」

「……でも……。」

セティの顔が、苦しみに歪む。

「解ってる。ずっと此処に居たいんだろ?俺だって、お前には此処で休んでいて貰いたい。でもな……あいつは お前が良いんだと。だから……行け。」

彼は その言葉と共に、セティの背を そっと押した。