天使の歌


キュティは、桜と樹と共に、都へ入った。

しかし、辺りは しんと静まり返っていた。

「……こんなの、おかしいわ。」

走って乱れた息を調えながら、桜が眉を顰めた。

「私達が1度 都に来た時は、東京と同じくらい、人が沢山 居たのに。」

「とうきょう?」

「日本の1番 大きな町だよ。」

訊き返したキュティに、樹が答えた。

「にほん?」

「私達が住んでる国の名前。今は こんな事を話してる場合じゃないわ。」

「あ、はいっ。」

そうだった。

のんびり人界の事を話している場合ではない。

「もう、セティ君は処刑場に連れて行かれたのかも。急ぎましょう。」

桜の言葉に、キュティは頷き。

再び走り出した桜と樹に付いて行った。

遠くの方で、微かに悲鳴が聞こえる。

それと共に、何かが焼けるような匂いが漂って来た。

「ヤバくないか?」

樹が舌打ちする。

「神霊(みたま)が悪い力で使われてるみたいだ。」

「もう暴走しているのかも知れないわね。」

桜は、キュティを振り返った。

「キュティちゃん、このままセティ君の居る場所に、飛び込むわ。……覚悟は?」

「出来てます!」

桜の瞳を見て、しっかりと頷く。

(待っててね、セティ。)

今、行くから。