天使の歌


「……あれ……?」

血のように紅い瞳が、スティを捉える。

「何で お前だけ生きてんの?」

今迄のセティとは、何か違う声。

何処か馬鹿に したような、嘲笑うような声。

セティは、目に掛かる前髪を、欝陶しそうに掻き上げた。

「おっかしぃなぁ。邪力が上手く制御 出来てねェのか?」

今迄とは違う、粗野な言葉遣い。

スティは茫然と、セティを見つめた。

本当に、あの、セティなのだろうか。

「ま、いっか。あんたの所為で、“セティ”は苦しんだ訳だし?あんただけ嬲って殺すのも、良いかもな。」

まるで、友達の名でも呼ぶかのように、自身の名を口に するセティ。

「……お、前……本当に……セティか……?」

問い掛けたスティの首を、セティは掴んだ。

「ぐっ!!」

スティは痛みに顔を歪ませる。

じゅうっと、皮膚が焼ける音が した。

「喉を焦がされて死ぬのって、どんな気分なんだろうな。」

くすくすと、セティは無邪気に笑う。

(ああ……今なら、全部、壊せる気がする。)

壊したい。

“セティ”と俺を傷付けた、この世界を。

その刹那。

「止めてっ!!」

高く澄んだ、綺麗な声が聞こえた。