天使の歌


叫ぶ兄の瞳には、憎しみしか無い。

(俺の事、やっぱ嫌いなんだ。)

「殺せ!!」

「殺しちまえ!!」

天使達の中から、そんな言葉が飛び出した。

「そのギロチンで一気に!!」

「いや!罪深い そいつを、何の苦痛も与えず殺して良いのか!?」

延々と続く討論。

(これが本当に天使かよ。)

狂ったように叫ぶ、人々。

お前達の方が、よっぽど悪魔らしい。

「ならば こいつに神霊(みたま)を送れ!!」

スティの声に、処刑場は しんと静まり返った。

「神霊(みたま)を?」

「そうだ!!こいつに聖なる神霊(みたま)を送り、邪悪な血を苦しめろ!!悶え、吐血しながら死んでいく姿を拝もう!!」

スティの言葉に、天使達は一斉に頷いた。

(酷ェな。)

セティの口元に浮かぶのは――微笑み。

(人は こうも、残酷に なれるのか。)

「さぁ!地獄へ堕ちろ!!穢れた忌み子め!!」

スティの言葉と共に、天使達は一斉に神霊(みたま)をセティに送り出した。

「がはっ!!」

躰の中の何かが、逆流するような感覚。

抑えられない悲鳴が、セティの口から漏れた。

それでも、セティの笑顔は消えなかった。

(“セティ”を これ迄 苦しめた罪。俺の存在よりも、お前達の罪の方が、遥かに重い。)

今迄の礼を、返してやる。

セティは、吐血しながらも、神霊(みたま)を集め始めた。