天使の歌


都に着いた途端、シークの態度は豹変した。

都の入り口の門の前に居た男に近付くと、俺を指差し、あいつ、と冷たい声で呟いた。

男は頷くと、俺の左腕を掴んだ。

「…………?」

何が起きているのか、全く解らなかったが、この男に近付かれては いけない気がして、俺は彼の腕を振り解こうとした。

その瞬間。

「う"っ。」

腹に強烈な蹴りを入れられて、俺は その場に跪いた。

咳き込む俺の腕を、男は掴んだままだった。

「……シーク……どう、ゆう、事……?」

「騙してたの。」

途切れ途切れの俺の言葉に、彼女は抑揚の無い冷たい声で答えた。

「あんたに会ったのは偶然だったけどね、その人――宰相に訊いたら連れて来いって命令されたから。」

騙、された……?

「ね、パパ。」

宰相――シークの父は、頷いた。

「来い、忌み子。お前の居場所は地界にも存在しない。」

低く、冷たい声。

俺は その声の主を、睨み付けた。

「俺は忌み子じゃない!」

「忌み子だ。何処の世界にも認められない、存在すら許されぬ、哀れな子よ。」

その言葉に、愕然と した。

今迄ずっと、忌み子と言われて生きて来た。

でも殆どの人が、穢れている存在として、そう呼んでいた。

この人は、違う。

俺が生きている事すら、
彼は否定するのだ。