ふっとスティは笑って、俺の口に水が入ったコップを当てた。
「飲め。」
「……っ。」
俺は必死に顔を背けて拒否するけど、スティは片手で俺の頬を掴み、口を開けさせると、水を流し入れた。
「……げほっ……。」
突然 液体が入って来た所為で上手く対処 出来ず、肺に水が入ってしまって、むせた。
「げほっげほっ。……ごほっ。」
「あー……面倒くせ。」
スティは苛々したように頭を掻き毟る。
「……ったって……解ったから……食べれば良いんだろっ。」
むせながら言うと、スティは驚いたように俺を見つめた。
「お前……切り替え早くね?」
「どうせ……ごほっ……拒否したら したらで、今みたいに無理矢理 飲ませんだろ。苦しいから、嫌だ。」
口では そう言いながら、俺は別の事を考えていた。
――絶対、逃げてやる。
忌み子と呼んだり。
お兄ちゃんって呼んでみろとか馬鹿に したり。
無理矢理 水を飲ませたり。
面倒臭いとか言ったり。
全部、全部、ムカつく。
……たった6歳の俺は、まだ儚い希望を持っていた。
天界に住む者 全員が、俺を忌み子と罵る訳ではないと。
きっと何処かに、俺を認めてくれる人が居ると。
そして、4年後。
10歳の時、俺は脱獄に成功した。


