でも、その時。
「こんな所に居やがったか。」
突然 背後から聞こえて来た声に、母さんは俺を背に匿って、目を見開いた。
「……スティ。」
ポニーテールに された綺麗な長い橙の髪、母さんと同じ、琥珀色の瞳。
15、6歳くらいの少年が、立っていた。
彼の後ろには、重装備の天使が20人程。
「帝からの命を受け、お前を捕らえに来た。」
スティと呼ばれた少年は、俺を指差した。
「帝から!?」
驚いたように訊いた母さんの腹を、白銀の光が貫いた。
「……何も知らなくて良い。」
そう呟いたスティの腕に握られた剣が、母さんの躰を貫いていた。
「母さんっ!?」
倒れて来た母さんの躰を受け止める。
母さんは、薄く目を開いた。
「……セティ……。」
母さんの手が、俺の頬を撫でる。
「最期迄 一緒に居てあげられなくて、御免ね……生きて。」
母さんは笑って。
そのまま動かなくなった。
「……か、あ、さん……?」
どんどん冷たくなって行く、母さんの躰。
それを抱き締めていたら、涙が溢れた。
ああ……。
独りに なってしまった。
愛していた人、愛してくれていた人は、こんなにも早く、呆気無く、死んでいく。


