天使の歌


「仕方無いなぁ。」

父さんは ふわりと笑って。

右手で俺を抱えると、地を蹴って攻撃を躱した。

そのまま、誰かに向かって投げられる。

俺を受け止めたのは、母さんだった。

「セティ、翔んで。」

母さんは微笑むと、俺の手を引いて、翼を広げた。

「父さんはっ?」

「…………。」

母さんは黙って、前だけを見つめる。

振り返ると、血だらけになって戦う、父さんの姿が見えた。

俺の視線に気付き。

「母さんの事、頼むな……?」

口の端から血を流しながら、父さんは笑った。

母さんは、1度も振り返らなかった。

ただただ、前だけを見つめて。

強く、強く。

生きて行こうと していた。