天使の歌


「……長様……。」

集まった人々が、自然と左右に分かれる。

その真ん中から歩いて来たのは、この村を仕切る長――リーの父親だった。

「父ちゃん!こいつが俺の腕を……!!」

リーは父親に しがみ付き、泣き始めてしまった。

「…………。」

長様は黙ってセティを見つめる。

「お前が、やったのか。」

「……はい。」

小さく頷くと、村人達が ざわざわと騒ぎ始める。

「五月蝿い!!」

それを一喝で制し、長様は口を開く。

「自分が何を したか、解っているのか。」

「……解っています。でも、信じて下さい!決して傷付けようと思って やった訳ではないのです!」

必死に叫ぶけれど、長様は相変わらず無表情だった。

「やろうと思ったか どうかでは無い。それは……その右手は、お前の力だろう。」

見れば、俺の右手は、手首から下が黒く染まっていた。

悪魔が邪力を使う時のように。

「自分の力をコントロール出来ないのは、自身の責任だ。」

何も、言えなかった。

長様の言っている事は、正しい。

でも、たった6年しか生きていない子供に、要求するものだろうか。

「セティ。」

長様の瞳が、俺を射る。

「長の息子を傷付けた罪、貴様の命を以て、償って貰おう。」