暖かい風が頬を撫で、キュティは はっと顔を上げた。

突然 立ち止まったキュティを、桜と樹が振り返る。

「どうした?」

「……来ました……。」

問うた樹の方を見ずに、キュティは手を空に伸ばす。

キュティが飛ばした神霊(みたま)は上手く届かなかったのか、セティから返事が来る事は無く、遂に、彼が捕まってから3日目の朝を迎えてしまった。

此処迄 来たら、仕方が無い、都の処刑場で、彼に会うしかない。

そんな樹の提案により、3人は急いで都へと向かっている所だった。

「――♪」

高い音を響かせ、セティの言葉を聴かせてくれと せがむと。

焔の神霊(みたま)から、強い映像が流れ込んで来た。

「……何、これ……。」

茫然と呟くと、桜はキュティの右手、樹は左手を掴んだ。

「恐らく、セティ君の記憶よ。彼は、貴方に これを伝えたがってる。」

「呑み込まれないように、手ェ繋いでようぜ?」

左右に立つ兄と姉の顔を交互に見て、キュティは強く頷いた。

焔の神霊(みたま)が、3人を包み込んだ。